検証ほつまつたゑ
ホツマツタヱ研究の専門同人誌・
『検証ほつまつたゑ よみがえる縄文叙事詩』の
第118号(令和3年12月号)に
掲載していただきました!
本当にいつも、
ありがとうございます🥰
今回は、
カグツチ(火之迦具土神・軻遇突智)
についてまとめています。
こちらもまた
以下に全文掲載しています!
カグツチ考 その1
花窟神社
三重県熊野市にある
花窟(はなのいわや)神社は
天照大神の母・
イサナミの墓所
といわれています。
イサナミは
火の神・カグツチ
を産んだとき
カグツチの火にまかれて
亡くなったとされるようです。
天照大神の父・イサナギは
妻の死をなげき悲しんで
カグツチを斬ったといいます。
ですから、花窟神社には
カグツチの墓とされる
磐座(いわくら)もあるようです。
生まれてすぐに斬られたため
古事記・日本書紀には
カグツチの記述は
ほとんど残っていません。
けれども、
「火の神」という
自然神的な性格から
火をふく火山や
火をつかう竈(台所)など
暮らしに近いところで祀られたため
いまでもひろく知られているようです。
ホツマツタヱでも
カグツチは自然神とされるようです。
日々の暮らしを守護する
ヤマサカミ(八将神)
のひとりであり
火の穢れから守る役割
があるといいます。
火を神格化した
存在のようですね。
山焼き
熊野は
イサナギ・イサナミが
ソサノヲ(素戔嗚尊)を
産んだ地だといいます。
イサナミの
クマ(隈・厄)がおりたため
性格のゆがんだソサノヲは
田を荒らしたそうです。
責任を感じたイサナミは
ひとびとの損失をつぐなおうと
農地を広げる
「山焼き」をしたようです。
みくまのの みやまぎやくを
ホツマツタヱ 5アヤ
のそかんと うむほのかみの
かぐつちに
「隈(くま)」がおりた
「不毛の地(熊野・くまの)」の
「樹(氣・き)」を
「焼く(やく)」ことで
「厄(やく)」を
祓おうとしたようです。
その浄化の火として
「カグツチ」をうんだといいます。
ここでいう「うむ」とは
「火をうみだす、火をきりだす」
という意味なのでしょう。
花窟神社の
1キロほど東には
カグツチが
生まれた地とされる
産田(うぶた)神社
があります。
山焼きで
「田」を「産んだ」から
「産田」なのでしょうか?
全国の秋葉神社では
カグツチを祀るといいますが
「秋葉(あきは)」は
「焼畑(やきはた)」から
きているともいうようです。
「畑」という漢字も、
「火」と「田」からできています。
これも
カグツチと山焼きの関係
によるのでしょうか?
「畑」は、日本の
国字だといいます。
職人集団
やかれてまさに
ホツマツタヱ 5アヤ
おわるまに
そんな山焼きの火に
イサナミはやかれたようです。
不運な事故かもしれませんが
浄化の火がおよんだということは
イサナミの「クマ」も深かったのでしょう。
イサナミは死の間際に
土の神・ハニヤス(埴安神)と
水の神・ミツハメ(罔象女神)を
うんだといいます。
さらに、
カグツチとハニヤスから
ワカムスビ(稚産霊神)と
ウケミタマ(倉稲魂神)が
うまれたようです。
これも、
畑になぞらえるなら
カグツチが山焼きでひらいて ハニヤスが土地ならして ミツハメが水をひき ワカムスビが苗を植えて育て ウケミタマが収穫・貯蔵した
ということでしょうか?
もしくは、
土(ハニヤス)と 水(ミツハメ)をこねて 火(カグツチ)で焼いて 土器(ワカムスビ)や 土偶(ウケミタマ)を作った
といえるのかもしれません。
大阪の坐摩神社の境内には
火防陶器(ひぶせとうき)神社
という珍しい神社があり
カグツチが祀られているといいます。
こうしてみると、
カグツチは自然神ではなくて
人格神にもみえてきます。
もしかすると、
役職・専門職として
「守(かみ)」に任命された
「人」だったのかもしれません。
イサナギ・イサナミの御子は
の5子ですから
その他の
『うむ』は「任命する」
ともとれるようです。
火をあつかう専門職
「カグツチ」に任命された
人物や職人集団が
いたのかもしれません。
イサナミの意思は
かれらに継がれ
イサナミの死後も
農法や技法を広めた
のではないでしょうか?
ひとびとの生活基盤を整えた
かれらの活躍が
ヤマサカミ(八将神)の
信仰を強めたのかもしれません。
愛宕神社
時代はすすんで、
天照大神の孫・
ニニキネ(瓊瓊杵尊)が
京都盆地を開拓したさいにも
カグツチは登場します。
なるかみお わけてしつむる
ホツマツタヱ 24アヤ
かぐつちと みつはめおうむ
「雷」という天の力を
「火」と「水」にわけて
土地開発に利用したといわれ
ニニキネは
ワケイカツチという
称え名を賜ります。
このとき、
カグツチを祀ったのが
愛宕山(あたごやま)の
愛宕(あたご)神社で
ミツハメを祀ったのが
鞍馬(くらま)の
貴船(きふね)神社だそうです。
カグツチを
自然神ではなく
人物とするなら
カグツチを鎮めた
愛宕山はカグツチの墓所
かもしれません。
坐摩神社
カグツチとハニヤスの
後継には
オコロという
一族がいたようです。
かれらは、
土竜(もぐら)といわれ
炎をはいたといいます。
「オコロ」は
「オノコロ」にも通じていて
「土地をならす」という
意味があるらしく
ニニキネ(瓊瓊杵尊)は
オコロをとりたてると
新居の
イカスリ(土さらい)
を命じたといいます。
オコロの兄弟は
イクシマ・タルシマ
の名をあたえられ
いまでも、
宮中祭祀の神
とされるようです。
地面の下にひそんで
ひとびとを守る存在
だったようですね。
穴を掘って
竜に似ていて炎をはいて
火と土から生じるといえば
「製鉄」のことかもしれません。
全国の愛宕神社の地には
製鉄の痕跡があるといいます。
鉄は武具だけでなく
農具にもなりますから
日常生活にも
欠かせないものだった
ことでしょう。
そんな、
製鉄民との和解や協定が
オコロの話かもしれません。
カグツチを祀る
火防陶器神社があるのは
摂津国一宮とされる
坐摩(いかすり)神社
の境内です。
イカスリ神(オコロ)とカグツチが
おなじ境内で祀られているのも
とても面白いことですね。
カグツチ
さて、気になるのは
「カグツチ」という名まえです。
「カグ」は、ホツマツタヱでは
原初神・クニトコタチ(国常立尊)の
教えの象徴でもある
「橘(たちばな)」のことだといいます。
「ツチ」は、
シホツチ(塩土老翁)や
アカツチ(赤土命)のように
舟の一族に通じるようです。
「津治」と書いたなら、
港や海を治めるもの
という意味もありそうです。
イサナギ・イサナミは、
キシヰ(紀州)に橘を植えて
教えを広めたといいますから
「カグツチ」とは
「紀州の海を治める者」
という意味かもしれません。
イサナミ
そもそも、元凶とされる
「イサナミのクマ」
とはなんなのでしょう?
月経の交わりが
穢れにつながった
ともいわれますが
子を得ることに
細心の注意をはらう
イサナギ・イサナミが
その日を選ぶでしょうか?
ここで、ふたたび
天孫・ニニキネの話にもどります。
ニニキネの后となる
コノハナサクヤヒメ(木花開耶姫)は
不義の疑いをかけられたとき
あだたねならばほろびん
ホツマツタヱ 24アヤ
『 不義の子(仇の種)ならば わたしの身は滅びてしまうでしょう 』
といって
室屋に火をつけたといいます。
すると、
奇跡がおこって火は消しとめられ
無事に生還したそうです。
これによって
身の潔白が証明され
ふたりは結ばれたといいます。
だとすると、
火にまかれたイサナミには
「不義があった」ということでしょうか?
ソサノヲ
本家断絶という国の危機に
分家を結んで世を継いだのが
イサナギ・イサナミだといいます。
しかし、そんなときでも
イサナミは一度
仲人の橋渡しを断っています。
イサナミには他に
思い人がいたのかもしれません。
また、
「愛宕(あたご)」の由来は
「仇子(あだこ)」ともいうようです。
カグツチは、イサナミの
死のきっかけとなったとこから
「仇になった子=カグツチ」
とされるようですが
もし、
「カグツチ」が「仇種」だったなら
「ソサノヲ」は「仇子」だった
のではないでしょうか?
「カグツチ」を
「橘槌(かぐつち)」
としてみると
「橘(たちばな)」は
「花(はな)」となり
「槌(つち)」は
「杵(きね)」となります。
ソサノヲの斎名を
「ハナキネ(花杵)」
というのは
カグツチの影響がある
のかもしれません。
カグツチとの不義が
イサナミの「クマ」であり
ソサノヲが荒れた原因だった
のでしょうか?
さらに、もし、カグツチが
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの
八王子(はちおうじ)に
つらなる血脈だったとしたら
ホツマツタヱに残されている話は
さらに深いものとなるようです。
(つづく)
覚書き
ご拝読ありがとうございます。
ホツマツタヱを読み解くうちに
カグツチという存在に
とても魅かれてゆきました。
カグツチやソサノヲには
ホツマツタヱでも
語ることが許されなかった
さらに裏の歴史が
読み解けるのではないか?
そんな気がしてくるのでした。
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