山の辺の道
三輪山(みわやま)から
奈良市までつづく古道を
山の辺の道(やまのべのみち)
というようです。
日本最古の古道ともいわれ
遺跡や古墳などもたくさんあり
延長は26キロもあるといいます。
三輪山の登拝をおえた、ぼくはふらりと
山の辺の道へはいりこんでしまいました。
龗神神社
三輪山の登拝口のある
狭井(さい)神社から
山の辺の道にはいってほどなく
「日本最古社 八大龍王弁財天大神 龗神神社」
というのがありました。

よどんだ大きな池の
中央にお堂(拝殿)があるという
とても雰囲気のある場所です。
橋をわたって
池に浮かぶ拝殿までゆくと
神仏習合様式で祀られていました。
ぴりりとした緊張感と
お香のけむりで満たされています。
拝殿のむかう先は
池の突端にある
赤い鳥居の祠でした。
とても厳かな場所で
居心地は好いのですが
長居をしてもよくないかと思い
そそくさと引き返します。
本殿
すると、ふと、池の突端の
赤い祠までつづく細道に気がつきました。
好奇心がまさり
おそるおそる足を向けます。
赤い祠の裏手側、何もない土の上に
陶製のちいさなお狐様や巳様や狛犬たちが
ちょこなんと置かれていました。
どうやら、背後の
三輪山へ向けての置かれているようです。
すごいところへ来てしまったという畏怖心と
祭祀の場所にちがいないという感動が
同時におしよせてきます。
精一杯、参りさせていただきました。
調べたところ、龗神神社は
大神神社の摂社・末社ではないようです。
とはいえ、
大神神社ともそう離れていませんので
なにかしらの縁はあるのでしょう。
蛇神
ちょっとばかり
想像をふくらませてみますと
もともと三輪山には
この池に棲む龍神様が
鎮座していたのですが
何らかの理由で交代した
のかもしれませんね。
滋賀の伊吹山(いぶきやま)には
ヤマトタケ(日本武尊)を返り討ちにした
イブキドヌシの伝承もありますし
福岡の高良(こうら)大社には
山頂いた高木神(たかぎかみ)を
高良玉垂神(こうらたまたれのかみ)が
追い落としたという伝承があります。
各地のおおきな神社には
土地をゆずった地主神が祀られている
こともありますから
ここもまた、そうした
地主神の神社なのかもしれません。

檜原神社
さらに歩いて玄賓庵を抜け
檜原(ひばら)神社へ到着しました。
ここは「元伊勢」なのだそうです。
伊勢神宮(いせじんぐう)に
天照大神が祀られるまで
天照大神の御霊は
数十か所にわったって
転居していたといいます。
なかでも、
一番最初に祀られたのがここ
檜原神社だそうです。[諸説あり]
こちらにも
三ツ鳥居がありました。
ご祭神は
天照大神の御霊を
この地に祀った皇女・
豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)
です。
「豊鍬入」というお名前からか
神官さんが神域の砂利を
鍬(すき)で丁寧にすいている姿が
とても印象的でした。
右手しか使ってはいけない決まり事?
でもあるご様子だったので
もしかすると、
神事のひとつだったのかもしれません。
つづく
ここで引き返せばよかった
のかもしれませんが、
まだまだつづく山の辺の道を
さらにたどってゆきました。

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