ホツマ歌壇
ホツマツタヱの研究同人誌・
『検証ほつまつたゑ よみがえる縄文叙事詩』には
読者が投稿した「歌」が掲載される
「ホツマ歌壇」のコーナーがあります。
和歌・短歌・長歌・俳句・自由歌など
五七調であればよいそうです。
第134号(令和6年8月号)には
ぼくの歌も掲載されましたので
当ブログでも
紹介させていただきます。
神獣
今号のお題は『神獣』で
「とり」「しか」「さる」「しし」
を詠みこむことだそうです。
葡萄の実も
葡萄の実も 鳥餌となるか 追ひかくる 烏のために 妻を取りえず
なくなった妻イサナミに会うために
神往きをした夫イサナギを詠みました。
鬼女(しこめ)から逃れるさいに
イサナギは山葡萄の実を投げたといいますが
イサナミが仕向けた鬼女とは
のちに烏にも象徴されることから
豊穣を意味する葡萄も
鳥の餌(とりゑ)になってしまって妻も
取り得(とりゑ)なかったという歌です。
こいねがう
こいねがう 歌にひもとけ 勅使に きしゐの山の 鹿ぞ鳴くなる
紀州(きしゐ)に暮らす
ワカヒメ(ヒルコ)のもとを訪ねた
オモイカネ(思金神)を詠みました。
ワカヒメから回り歌という
熱烈な恋歌をもらったオモイカネは
その歌にすっかり魅了されてしまい
恋心を抱いたのでは?という歌です。
秋の牡鹿のさびしい鳴き声というのは
妻を求める声なのだといいます。
ホツマツタヱでは
勅使のことを「サヲシカ」といいます。
いまでは「サオシカ」としえば
牡鹿をあらわす言葉なのだそうです。
山背の
山背の 東北の守りは 正猿なり 去るはウツロヰ 西北の平野へ
ホツマツタヱでは
京都盆地は比叡山の後ろにあるため
山(やま)の背(うしろ)から
山背(やましろ・山城国)という
ようになったといいます。
京都御所の鬼門(北東)を守るのは
日吉大社の猿であり
魔が去るに掛けて
正猿(まさる・勝)といいますが
ホツマツタヱで北東守護といえば
空の神・ウツロヰでした。
けれども、ウツロヰはいまでは
菅原道真公を祀る天神(雷神)信仰と
習合してしまい
京都御所の北西の守りとなっています。
艮(うしとら)の金神(こんじん)
といわれる大将軍神も
ウツロヰのことであり
本来はこちらも
艮(北東)の方位守護
だったのですが
大陸の先天図では
艮は北西とされるため
北西守護となったようです。
猿谷の
猿谷の 底に眠るか 去る民よ 逸名結びて 管を抜けたり
ハタレの動乱では
猿が憑いたとされる
イツナミチを一団を
皇軍タケミカツチは
生け捕りにしたのですが
護送のさいにあやまって
その大半をくびってしまった
といいます。
そこで、なくなった
ハタレ(イツナミチ)の
魂を天に還すために
タマカヱシ(魂返し)
という秘術が編みだされました。
この聖地がどこであるのかは
不明なのですが一説には
猿谷ダムの底に
沈んでいるともいわれます。
イツナミチは
飯縄(いいづな)信仰として残り
管狐(くだぎつね・飯綱)などの
秘術(呪術)を使うものを
飯綱使いといったようです。
ホツマツタヱでは牢のことを
ツツガ(恙)というのですが
管(つつ)を抜けて
イツナミチの名は
生き延びているという歌です。
荒れシシお
荒れシシお サル田がトリて たてまつる カ島神楽の 遊びなるかな
ホツマツタヱには
獅子舞いの由来について
伊予にわたった猿田彦が
家畜を襲う獣(しし)を
生け捕りにして奉ったことに
はじまるといいます。
この捕り物を演じることで
魔を祓う意味を持たせたようです。
お題のシシ・サル・トリ・シカを
すべて詠み込んでみました。
白檮尾サル
白檮尾サル 妻追いてシシ 宮トリと 病みシシて日お 祀る勅シカ
かしおさるつまおひてししみやとりとやみししてひおまつるさおしか
前から読んでも後ろから読んでも
同じという回り歌です。
ここにもお題をすべて
読み込んでみました。
初代神武天皇はなくなると
白檮尾(かしお)にほうむられた
といいます。
そのさいに、最初の妻であった
アヒラツヒメも後追いをしてともに
おなじ洞にはいったそうです。
神武天皇の子らは勢力争いのすえに
2代・綏靖天皇が即位しました。
日の使いであった
ミチヲミ(道臣命)もきっと
神武天皇を篤く弔ったことでしょう
というような歌です。
ミチヲミが勅使だったかどうかは
記載がないのでわかりませんが
立場としては
同等だったと考えられます。
未掲載歌
このほかにも
未掲載となった投稿歌があります。
こちらに載せて
往生させようと思います。
如月の
如月の まだ寒き夜に 遠敷より 大和におりる 水鳥ありや
若狭の鵜の瀬と
東大寺の二月堂との間で
おこなわれているという
「お水取り」の行事について
詠んだ歌です。
鹿の子も
鹿の子も 白髪となるや ヒルをしる 尊きひとに 領ろし召さるか
ヤマトタケが
東征の帰路に出会ったという
白鹿について詠んでみました。
そのままに読めば
蒜(ひる・ニンニク?)を
ひとつはじいて
眼(まなこ)をうち
退治したというのですが
これも読み解くならば
天照大神の血を受け継ぐ
ヤマトタケはこの地で
かつての勅使の子孫と出会い
直系の験をかれらにみせることで
白髪(毛)の老いた鹿にも例えられる
勅使の子孫たち(オモイカネの子孫?)をみな
領(しろ・白)しめした
ということではないでしょうか?
ヒルというのは
日霊(ひる)のことで
天照大神の霊験というような
意味にも取れるようです。
獣肉食む
獣肉食む 民のはや枯れ オホナムチ 教草伝ふ 宍道湖なるや
出雲には
宍道湖(しんじこ)という
おおきな湖がありますが
その名というのは
オホナムチ(大己貴命)が
猪狩りをしたことに由来するそうです。
ホツマツタヱでは
出雲のひとびとは猪肉を食べたことで
寿命が短くなったといいます。
そこでワカヒメより
稲虫祓いの歌をさずかり
米の自給率をあげることで
その難を逃れたようです。
この教訓として
獣の肉をひかえるよう
湖にその名を残した
のかもしれませんねという歌です。
清麻呂を
清麻呂を 救いし猪を 祀る宮 輿を運びて 悪し萎え祓う
和気清麻呂(わけのきよまろ)
をご祭神とする
京都の
護王(ごおう)神社は
和気清麻呂を守護したという
猪を狛とすることから
いのしし神社ともいわれています。
政敵によって
足に傷をおった清麻呂の輿を
猪が運んだという伝承から
足腰に神徳があると
いわれるようです。
これも
「足」と「悪し」
「腰」と「輿」を
掛けてあるようですね。
「あしびき」によって
この国を興したイサナギのように
清麻呂もまた「あしびき」から
この国を救ったのでしょう。
ご拝読ありがとうございます。
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